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【読書感想】邪宗館の惨劇

読書
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 ホラー作家・那々木悠志郎が登場するシリーズ4作品目、「邪宗館の惨劇」阿泉来堂著を読んだ。

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 「邪宗館の惨劇」は、1年前の火災事故で友人を亡くした天田耕平が、恋人と共に慰霊祭へと向かうために乗ったバスが山道で事故を起こし、立ち往生したことから雨風をしのぐために、近くの廃墟へ訪れたことから始まる。

 天田達が訪れた廃墟は、かつてとある宗教団体の信者達が集団死したいわくつきの建物だったことを同じバスに乗っていた乗客から聞いたその夜、バスの乗客達が次々と何者かによって殺害されてしまう。天田とその恋人は、廃墟から逃げ出そうと試みるも何者かに襲われ、気を失う。そして、その後、天田は慰霊祭に向かうバスの事故の後、廃墟へと向かいそれから乗客達が次々と殺害されるまでを何度も繰り返していることに気がつき、このタイムループをどうにか止めようと試みるもどうにもできずにいたところ、那々木悠志郎とその友人が廃墟を訪れたのだった。

 那々木悠志郎が登場したことで、天田が陥ったタイムループから抜け出せるだろうことを期待しつつ、那々木悠志郎がまずは自分の本を天田に手渡したのは、これまでこのシリーズを読んできた者にとってはおなじみの光景ではあった。けれども、今回に限ってはこの本のやりとりが、後々に重要な意味合いを持つのは良かった。

 その後、那々木悠志郎達は、廃墟の中で天田の説明した順にバスの乗客達が殺害され、異形のものの存在も確認し、対峙したことで一時はピンチに陥ったのかと思う描写もあったけれど、そこは怪談蒐集家でもある那々木悠志郎の冷静な行動と判断でどうにか切り抜けたのはいろんな感情が揺さぶられるようだった。

 結末にかけては、那々木悠志郎たちが遭遇した廃墟での怪異、異形のもの達の正体について、真相にたどり着き、一件落着かと思いきや、これから先に不穏なことが待ち受けているかのような出来事もあり、今後の展開が楽しみではあるものの不安にもなった。