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【読書感想】虜囚の犬 元家裁調査官・白石洛

読書
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 よく利用している書店のウェブサイトであらすじを読んで気になったことから、「虜囚の犬 元家裁調査官・白石洛」櫛木理宇著を読んだ。


 本作品は、タイトルからも察する通り、あることがきっかけで家裁調査官を辞めた白石洛が主人公だ。妹名義のマンションの一室で主夫として穏やかな日々を送っている白石洛のところに、ある日、学生時代からの友人であり刑事でもある和井田が訪れ、白石がかつて家裁調査官として担当した少年・薩摩治郎が死体となって発見されたことを知らされる。

 一時は家裁調査官を退いたことを理由に和井田からの相談を断ろうとした白石だが、薩摩治郎の自宅を訪れた警察官によって、薩摩治郎が女性を監禁していたこと、庭からは白骨遺体が出たことまで明らかとなると、あまり気乗りしないものの白石は事件の調査を始める。

 人の噂も七十五日。風聞はすぐに飽きられ、消える。忘れることができないのは、いつだって直接かかわった者たちだけだ。
————そして傷を癒やせぬまま、当事者は取りのこされる。

「虜囚の犬 元家裁調査官・白石洛」本文より抜粋

 これは、事件について調査を始めた白石が、それまでは観ることを避けていたワイドショウで薩摩治郎のことが取り上げられなくなっていることについて、世間での事件の扱いを悲観しているところだ。

 本作品では、被害者であり加害者でもあった薩摩治郎のこと、そして薩摩治郎の両親のことを白石が調査し、和井田と情報を共有しながら真相に迫っていく。

 途中から薩摩治郎の事件とは別に、ある男子中学生のパートが描かれていて、本筋とどう繋がっていくのか、と読み応えがあった。

 「虜囚の犬 元家裁調査官・白石洛」を読んでみたら、虐待、洗脳、監禁など、読んでいて気持ちの良い内容ではないものの、主人公の白石の主夫としての日常に癒されるものがあった。また、終盤にかけての白石、その周りの変化にはどこかホッとした。