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【読書感想】ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

読書
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 どんなストーリーなのだろう、と気になるタイトルだったから「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」大前粟生著を読んだ。

 本書は、書籍タイトルにもなっている「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」のほかに3編の作品が収録されている。

 まずは、「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」について語りたい。主人公は、男子大学生・七森で、ぬいぐるみサークルに所属している。
 ぬいぐるみサークルでは、部室によく顔を出す部員が、それぞれ思い思いにぬいぐるみとしゃべるけれども、誰かがぬいぐるみとしゃべっている内容は聞かない、というルールがある。ぬいぐるみとしゃべる部員を気味悪がって、サークルを辞めてしまう人もいるけれど、七森はサークルの雰囲気などが気に入って、部室によく顔を出す。

 七森は、ぬいぐるみサークルに所属しているが、ほかの人々のようにぬいぐるみとしゃべらない。七森には、学科が同じでサークルも一緒の同級生で気になる女の子がいるけれど、友人として好きなのか、異性として好きなのかわからずにいる。なんとなく、大学生のうちに恋人がいないまま、という焦りなどから同じサークルで仲の良い他学部の女の子と付き合い始めるも、七森が彼女へ抱く感情が恋人としてではないことが伝わってしまう。

 つらいことがあったらだれかに話した方がいい。でもそのつらいことが向けられた相手は悲しんで、傷ついてしまうかもしれない。だからおれたちはぬいぐるみとしゃべろう。ぬいぐるみに楽にしてもらおう

「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」本文より抜粋

  これは、ぬいぐるみサークルの創設者であり、ぬいぐるみサークル副部長の男子大学生の言葉だ。ぬいぐるみサークルという、一見かわいらしい名前のサークルの部長が男性だと近寄りがたいものになるけれど、ぬいぐるみみたいなかわいらしいものが好きな男性が入部することをためらわないように、とのことで副部長の座に就いている男性ならではのやさしさ。

 生身の人間に話すには、相手の負担を考えすぎてしまうような人々たちの集まりでもある、ぬいぐるみサークルは、その場所を求める者にはホッとするものになるだろう。そのやさしさが、壊れやすいものだから守りたい、という気持ちが言葉から伝わってくるかのようだった。

 傷つきやすい、と言えばそこまでかもしれないけれど、傷つきやすいから理解できるやさしさというものがあると思う。大学生活で憧れるような恋愛に踏み込めない七森の感情は、しゃべれる相手ができたことで、徐々に変化していくように読み取れた。できることなら、もうしばらく七森の様子を追いかけたくなった。

 この「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」のほかの3編は、それぞれが独立した物語だけれど、人の感情の脆さ、危うさなどは共通していたように思う。

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