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【読書感想】鉄鼠の檻

読書
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 京極夏彦氏による百鬼夜行シリーズ第4作目「鉄鼠の檻」を読んだ。

このシリーズの主人公である関口巽は、京極堂夫妻から誘われて妻と共に箱根を訪れた。関口は京極堂が仕事に行っている間は、宿でのんびりと過ごすつもりが、気づけば仙石楼と明慧寺で起きた事件、怪異に巻き込まれていく。

関口は、仙石楼にて「姑獲鳥の夏」での事件で出会った久遠寺と再会し、その事件のこともほんの少しばかり今回の事件に関わるというのも読みどころ。


 本作品では、僧侶が多く登場し、舞台となっている寺は臨済宗と曹洞宗の出身者で構成されており、なぜそうなったかなどが時代背景とともに描かれいている。難しい表現も多く、わかるようでわからないところもあった、と言うのが正直なところであり、所々調べながら読んでみたりもした。

 このシリーズで前作までは毎度登場した木場刑事が登場しなかったのは少し物足りないような気がしなくもなかったけれど、舞台が東京ではなく箱根だったから仕方がない。その代わりと言ってはなんだが、榎木津と京極堂のいつもとはちょっと違うやりとりがあったりしたのが、なんだか良かった。

 誰が犯人かをここで述べず、いかにおもしろかったかを連ねるのは、なかなか難しい。それに加えて、本作品では禅についてたくさんの記述があるものの、全てを理解できず読み進めることにも苦労した。わかるところもわからないところも含めて、なんか面白いな、と思うことが本を読む上で大切なんじゃないかな、とも思う。

 誰かにとっての常識、非常識というものは、今どこにいるのか、ということで変化したりする。そういったことが招く一見不可解だけれども、その理由を知るとわかるようなわからないような怪異、事件の真相が本作品には描かれていた。