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【読書感想】ししりばの家

読書
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 澤村伊智氏による比嘉姉妹シリーズ第3作目「ししりばの家」を読んだ。本作品は、「ぼぎわんが、来る」、「ずうのめ人形」に続く、3作目であるがそれぞれの作品を単体でも楽しめる。

 比嘉姉妹シリーズ第1作目「ぼぎわんが、来る」については、こちら↓

 比嘉姉妹シリーズ第2作目「ずうのめ人形」については、こちら↓

 さて、「ししりばの家」は、主人公らしき人物が2人いる。1人目の主人公は夫の転勤により東京に引っ越してきた果歩、2人目の主人公は比嘉琴子の小中学校の同級生である男性だ。

 本作品は、果歩が東京で幼馴染と偶然に再会し、幼馴染の家に招かれたことから違和感や怪異と遭遇することからストーリーが進んでいく。

 また一方では、比嘉琴子の同級生である男性の“あの家”にまつわる記憶や現在のことなども語られていく。

 本作品では、“砂”がキーワードとして語られる。家の中にあるはずのない砂、頭の中にまで入ってこようとする砂など、何とも言えない不気味さが終始つきまとう。

 作中で果歩にとっては幼馴染がパートナーと暮らす家、琴子たちにとっては“あの家”とされる、家の中で起きている怪異、異常なことが砂や気配などで表現されている。外から見ると異様な光景であるにも関わらず、その中では普通のこと、当たり前のこととされていることが、こんなにも怖いことなのか、と読みながら何度も思った。

 また、これまでに「ぼぎわんが、来る」、「ずうのめ人形」を読んできて、本作品では比嘉琴子のことが多く描写されているのが、とても良かった。

 「ししりばの家」を読んだら、怪異がもたらす怖さ、異様さをどこか楽しみつつも、犬が一緒に暮らすことの頼もしさが思い浮かんだ。生きている人間の思考を操るものが存在することの怖さは、できることならば体験したくはない。