知らず知らずのうちに神様と関わっているかも?とワクワクするような短編が詰まった連作集と知り、「すべての神様の十月」小路幸也著を読んだ。
この短編集では、それぞれの短編に最低でも1人の神様が登場する。たまたま人間と契約を交わしてしまい、その人と事あるごとに関わり言葉を交わす神様もいれば、神様であることを知られぬまま人々と関わり、運命を調整する神様もいる。
日本には、八百万の神々がいるとされることは、どこかで見聞きすることがあるかと思う。八百万と言うのは、数え切れぬほどたくさんの神様がいて、そこかしこに存在していることを示唆している。
短編を読むごとに、人々がすっかり忘れてしまいそうになっていること、大切なこととは何なのかだとか、とりとめないけれど気づくと温かい気持ちになれるようなものが物語に詰め込まれている。
また、目の前の相手が神様であることを知った人間と神様との会話も、なかなかファンタジーな雰囲気もありつつ、楽しめる。もちろん、神様同士の会話もこういうものかもしれないな、というイメージが膨らんだ。
こうだったら良いのにな、と思ったり、これまでになかった視点での神様たちの存在、人々の暮らしのあれこれが描かれていて、どの短編も楽しめた。